02/16 at 渋谷シアターコクーン
蜷川さん演出のお芝居を観るのは、実は今回が始めて。
難しそうだなってイメージがあってずっと躊躇していたのですが、今回は松さんが主演ということで、友人にチケットを取ってもらいました。で、本日のお席はD列のセンター寄り。かなりいい席で観させて頂きました(感謝、感謝♪)
※以下、ネタバレあります。
まず場内に入ってセットに驚きました。真ん中にプロレスのリングのような正方形の舞台があり、それを段になった傍聴席のようなものが囲むように置いてあります。舞台奥には十字架、そして両脇にはジャンヌ・ダルクを描いたと思われる絵が飾られていました。
どうやら舞台転換は無い模様。この時点で自分の想像していたものとは、違うカタチのお話になりそうだな〜、と。
開演間際になって、まず舞台に登場したのは松さん演じるジャンヌ。
舞台をぐるりと回って、1列目の客席の前にある席にフツーな感じで座ります。そこから、出演者が舞台袖から、客席内の通路から、続々と登場してきます。舞台では着替えを始める人や肩を叩き合いながら談笑している人がいて、いったいどこからお芝居が始まるのだろーか?と、思った途端裁判が開始されます。
ジャンヌが既にイギリス軍に捕らえられた後から話は始まり、ジャンヌが初めて神の声に触れる場面から、順に話が展開されていきます。ジャンヌだけはずっと舞台の上にいて、他の役者さんは出番になると傍聴席から立ち上がり、舞台へ上がっていきます。ある意味、客席も傍聴席みたいなもんで、場内にはずっと緊張感がありました。
一幕は村を出てから、シャルル王太子に接見するまでを。そして二幕では異端審問官や司教から厳しい追求と説得を繰り返され、一度は罪を認め終身刑に。しかし、牢獄で自問自答した上で、罪を認めたことを撤回。彼女は最後まで信念を貫き通します。そして最後は有名な火あぶりの刑に処されて物語はおしまい・・・。
と思いきや、かなりの
どんでん返しがあります(元々、ジャン・アヌイの原作がそうみたいですね)。コレのおかげで、単なる悲劇として終わらなかったのは個人的にはとても良かったと思います。
松さんはさすが!!の一言。
このお芝居は松さんの為の芝居といっても決して言い過ぎではないと思います。台詞の量が半端なく多いのに、全然間違えないし、明瞭で聞き取り易い声。
凛とした無垢な少女を演じていたと思えば、狂気さえ感じさせる鬼気迫る演技も見せてくれます。観るたびに思うことですが、この方は「舞台」というステージが一番輝いていると思います。
共演者の中で気になったのは異端審問官を演じていた壤晴彦さん。
一幕ではほとんど喋らずじまいだったのですが、二幕では強大な権威を後ろ盾にジャンヌに強烈な問い掛けを次々と投げかけます。とても素晴らしい声をしていて、聞き惚れてしまいましたわ。
お次はシャルル王太子を演じた山崎一さん。
山崎さんというとNOVAをまず思い浮かべてしまいますが、今回は気弱で臆病な王太子をコミカルに演じておりました。接見に際して、別人に成りすましていたシャルルをジャンヌが追いかけるところで、発生したハプニングはどうやら毎回やっているみたいですね。ネタ的にはとてもタイムリーでした(謎笑)。
そんでもってお次は司教役の益岡徹さん。
↓のウォーリックもそうですけど、語り部的な役柄でしたね。ジャンヌの為に粘り強く説得をするのですが、途中からその行為が、彼自身の自己満足のように見えてきました。前半、我慢強く優しく接していた司教が、終盤でつばを思いっきり振りまきながら、ジャンヌの傲慢を厳しく糾弾していくシーンはこれまた鬼気迫るものがありました。
最後はウォーリック伯爵を演じた橋本さとしさん。
未だに"パンストキッチン"の印象が強く残っているのですが、この方もどちらかというと語り部的な存在でしたね。一緒に観てた相方さんは、彼が常に手にしていたバラの花が造花かどうかが気になっていたみたいですが(笑)。いかにも"貴族"っていう空気を上手く表現してましたね。一度、客席の通路まで出てきたんですけど、やっぱり背がデカイっす。
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舞台はとてもシンプルで、暗転も無いし、常に緊張感を持ちながらの3時間半は正直疲れました。が、同時に観終わった後の気分は久々に(苦笑)、気持ちのいいもんでした。
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本日のお芝居は開演が19:00で終演が22:25。
終電を気にしながら1時間ぐらいっつーことで近くの居酒屋で飲んだのですが、ちと計算違い(??)が生じて間に合わず。先月に引き続き夜のピクニックをば(^-^)。